相 ーあいー

  • 2007.08.19 Sunday
  • 23:46
夏の新刊:相

オリジナルJUNE

運命の猫耳シリーズ第3段。運命を裏切った事を自覚しながらも透里は運命を知らない人を好きに成ってしまった。でもその代償に度重なる不幸。ただ好きになっただけなのに、好きに成ればなる程不幸が襲ってきて……

400円(+送料80円)
>>>一部紹介<<<


     序

 最初は些細な不幸とも言えない不運
 一緒にいれば必ずと言っていいほど、何かしてしまう。
 最初はよくけつまずくぐらい。
 自分がおっちょこちょいだから。
 そう思っていた。
 でも惹かれるほどに、一緒にいようとするたびに不運が重なる。
 デートをすれば、電車が止まる。
 遊びにいけば上からものが落ちてくるなど、何かしらの事故が起きて、そして思い至る。
『運命に逆らうと、不幸になるんだって、』
 そう言った年下の親友は、運命の人と一緒になることで、幸せを振りまいていた。
 だからこそ、彼の言葉がくさびになっていた。
 何でなんだろう。
 どうして運命なんか有るんだろう。
 そう思わずにいられなかった。
 少し前までは確かに運命を求めていた。
 でも今は違う。
 好きでいいのに。
 好きで十分なのに。
 そう思わざるを得ない。
 なんで、
 涙が溢れて止まらない。
 赤く染まる手。
 彼の血で汚れたシャツ。
 ただ一緒にいたかっただけなのに、彼を不幸にする。
「へ、へーたは!」
 ずっと見据えていた扉が開くが待ち望んだ人物は出てこない。
「大丈夫です。ところで、ご家族の方は、まだでしょうか?」
 緑色した洋服ーー手術着を纏った人だけが一人出てきて、徐に透里に問うた。
「あ……まだ、」
 家族が呼ばれるという事が不安をかき立てる。
 しかしそれに気づいたのだろう、医師は再び大丈夫だと続けた。
「今のところ大丈夫かと思いますが、彼の血液型が特殊ですので、余裕を持てればと、」
 ABのRHマイナス。
 家族であれば適合する人がいるのではないか。とその医師は言った。
「とりあえず、いらっしゃられましたら、そこの詰め所にいる、看護婦誰でもいいので声をかけてください。」
「あ、はい。」
「お願いしますね。」
 そういうと彼は手術室の扉の向こうにそそくさと戻っていく。
 それは、彼が予断を許さない状況だとの現れのように思えた。
 不測の事態。
 そう、再び嫌な考えが脳裏をかすめる。
 好きだから、彼が好きだから、好きだからこそ、運命に逆らった。
 不測、起きない可能性が高い事だけど、今は運命に逆らっての結果。
 だから、これ以上運命に逆らわない方がいい。
 判っている。
 運命に従ってこの思いを捨てるべきだと判っている。
 彼をこんな目に会わせたのが自分だと判っていても、でも手術室の前から動けなかった。
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