双 ーふたりー

  • 2008.12.28 Sunday
  • 23:09
オリジナルJUNE

運命の猫耳シリーズ:番外。
逃げ出して、ひとりぼっちだった千南を拾ったのは、そっくりとしか言いようのない双子の兄弟だった。
一緒に暮らすうちに、どちらも同じぐらい好きになってしまって……

・・・無料配布。
現在、在庫は有りません。
>>>一部紹介<<<


    序


「お前は俺達と違うから。」
 そう周囲に言われ続けて育った。
 寂しかったけどしょうががなかった。
 だから千南は、祖母の死を切っ掛けに、母に聞いていた外の世界に飛び出した。
 そして、辿り着き、無い事が普通である事を千南は満喫していた。
 ただ、普通だからといって、それだけで総てが上手く行くはず訳は無かった。
 外は自由である分、千南のように何も判らない人間が一人で生きていくには難しい世界で、あっさりとはみ出してしまった。
 持って来たお金はすぐに底を付き、寒さに限界を感じ初めていた。
 死。
 余りの寒さに死を初めて意識した。
 なのに恐怖は感じず、ただ寂しいなぁ。と思ってしまった。
 ただ迫害され続けた暮らしでの寂しさよりも、今の寂しさの方がましだと千南は思っていた。
 でも、死ぬのは悲しかった。
「何してる?」
「……」
 そんな、何も無く終わってしまう自分に寂しさを感じながら、下を向いて座り込んでいた千南に声がかかったのはそんな時だった。
「なぁ、」
 相手はしゃがむ事は無く、頭の上から声をかけてくる。
「なぁ、何してる?」
 それも軽薄ぎみな声。
 だから千南は下を向いたままで声を無視しし続けていた。
 しかし相手は何を思ってか、しつこく何度も聞いてくる。
 下を向いた千南の目にはいるのは二組の靴。
 声の主以外にもうもう一人居るのが判るが、顔を上げるのも億劫で足下だけをみていた。
 なのに何度も声がかかかる。
 繰り返され、そして、肩に手がかかった瞬間だった。
 半分自棄になっていた千南は伸びてきた手を払い叩き切るように言った。
「なんでもいーだろうがっ、」
 ただ、その声は千南自身が思っていた以上に小さな声にしかならなかった。
 丸一日近く、水すら満足に補給出来ない現状では限界だったらしい。
「なぁ、暇?」
 しかし、それでも立ち去る気配を見せない彼等を睨みつけようと顔を上げる。
「……」
 声が出なかった。
 びっくりして声がた。
 そこには、そっくりな人達がたっていたのだ。
 それも、驚く程綺麗な人。。
 顔だけでは無い、長身でスタイルも良く、凄く似合っている、高かそうな身なりをしている人達がそこには居た。
「なぁ、暇?」
 再び問われるが、彼等を見る程に何故自分が声をかけられたのか判らない。
「なぁ、暇なんだろ?」
「……俺が暇でも、関係ないだろ。」
「あるよ。」
「何がだっ!」
 弱々しい声しか出ないのを判っていても、それでも強く言い切った。
「だから確認してるんだろ。」
 しかし相手は意に解さない。
「ね、暇なんだろ?」
「……だったらどうなんだよ。」
「バイト。」
「? は?」
「うん。暇なんだったらバイトしねぇ?」
 彼はそう言った。



 それが彼ら嶺木右近、左近という双子との出会いだった。

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